
四国最南端といえば足摺岬である。四国東南端ならば室戸岬だ。では、四国最東端といえばどこか?
まっことすみません、徳島県さん。私は同じ四国の高知県に生まれて、ほぼ半世紀もすごしてきたにもかかわらず、四国に「最東端」もあるという地理的事実を意識したことがありませんでした。
四国最東端。私にとって未知の、正直に言えば、やや戸惑いを感じる語感の場所は、今回の旅における最大の興味の対象となった。
というのも、私は端っこ好きなのだ。これまで、北海道の宗谷岬をはじめ、各地のいろいろな端っこを訪ねてきた。
端っこは通常、市街地からけっこうはずれた地にあり、独特の最果て感が漂っている。それが、たまらない。これから訪ねる四国最東端の蒲生田岬も、端っこならではの魅力にあふれる地であることを願った。
急に道が細くなった。蒲生田岬はもうすぐなのだろう。狭い道の海側に防風林や竹林が続いており、時折、バスの窓に枝がピッと当たる。
ああ、これだよ、とゾクゾクする。端っこをめざすには、ほんの少しの苦労があるほうがいい。登山のようなものだ。暗い林のなかをしばらく歩くからこそ、森林限界を抜けた時の喜びが大きい。
防風林沿いを走るドライブはほどなく終わり、バスから降りた。周りに人家はない。海岸沿いを延びる小路の先に、蒲生田岬と思われる小高い丘がぽこんと盛り上がっている。頂上に立つのは、端っこの岬になくてはならない白亜の灯台だ。
ようこそ、遠いところをおいでたのう、ここが最果ての岬じゃけ(徳島弁?)。灯台がこう語りかけてきたような気がした。
ああ、ここは端っこだ。絵に描いたような最果ての風情じゃないか。ひと目で私は納得し、訪ねて良かったとうれしくなった。

「登りますか?」地元の案内役の方が言った。寒風が吹くなか、一行はやや躊躇しつつも、せっかくここまで来たのだから……と歩き出す。やっぱり、先っちょまで行かなくては、四国最東端を制覇したことにはならない。300段以上の階段を登って、ついにてっぺんへ。
あいにくのどんよりした天気で、海は一面が灰色だった。よく晴れた日には淡路島や紀伊半島まで見えるというのだから、本当に素晴らしい光景が広がるのだろう。とはいえ、今日のやや暗めの色合いも、端っこ的には悪くない。ぽっかり浮かぶ伊島がアクセントになり、なかなか変化のある風景だ。
頂上付近には黄色いシオギクの花がぽつぽつ咲いている。この丘一面を覆うように植栽して「潮菊岬」「イエローケープ」とかいって売り出すのはどうだろう……などと勝手に思いながら、頂上をあとにした。
丘を下りながら、次は四国最北端を制覇してやろうか、とふと思った。しかし、そこがどこだかわからない。香川県さん(多分)、まっことすみません。